忘れるセンス

 最近良く忘れます。

 以前は何でもかんでもよく覚えていたのに、今はついさっき考えていたことまでもきれいさっぱり…二度と思い出せません。

 忘れたことを無理に思い出そうとすると、頭が痛くなったり気持ちが悪くなるので、また必要なことなら思い出すだろうと悠長に構えると、急に思い出したりもします。

 忘れる…というと、良くないことのように聞こえますが、これも生きるうえでの大事なセンスだと思っています。

 どんな嫌なことがあっても、忘れることができれば、そうそうつらい人生にはなりません。

 過去の私は、楽しいことがあまりなく、毎日が悲しかったりつらかったりした記憶がたくさんありました。

 それは悲しかったりつらかったりしたことをさらっと流せずに、何度も何度も繰り返し思い出しているので、忘れることができなくなったのです。

 そればかりしているので、楽しいことがあったことは思い出す隙がなく、気がつけばすっかり楽しいことなどないような気持ちになるくらい私の記憶には残りませんでした。

 そこで、最近良く忘れる私は、嫌なこともすぐに忘れてしまうので、とっても気持ちが楽になりました。

 そして、楽しいことは忘れるともったいないので、写真やスケジュール帖などに記録しておくことにしました。

 たった1行のメモだけで、記憶をよみがえらせることはできるものです。

 過去の私がやったことをちょうど反対にすることで、同じ人間なのに、まるで違う人生を生きているような気分になります。

 実際は嫌なことも楽しいことも、今も昔も変わらずに私に訪れているんですけどね(笑

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